合格進学校 京都市立堀川高等学校

わたしの志は、

さまざまな困難や失敗と闘う人々を勇気付けられる本を作ることです。

誰しもが数々の不安を抱える現代。中には抱えきれないほどに膨大な数を背負い続けている人がいます。そういう人々の不安を少しでも拭えたらいいなと思います。実際私も、とある存在に助けられ、励まされ、後押しされてここまで歩んでくることができました。だから、これから「自分にしか」でなく「自分が」できることを実行し、多くの人の支えになりたいと考えます。その一つの形として、人々に勇気を与えられる本作りを行います。

無駄のない勉強

中学一年生のときに成基学園に入塾してからの一年間は、明らかに勉強時間が足りていなかったと今でも思います。入塾当初に周囲の知識量や勉強習慣に気圧され、自分はもう手遅れなのだと悟ってからも、机に向かう時間は一向に変化しませんでした。惨めな模試の結果には目を覆い、娯楽にかまける日々を送っていました。ここまでなら「不合格体験記」という名の失敗談になり得たのでしょうが、幸いにも中学二年生に入ったころから流れが変わり始めます。

先生が私の進学先として、京都市立
堀川高等学校を提案されたのです。前記のような私でしたから、名前はうっすらと耳にしたことがある程度の認識でした。私も己の未熟さと怠慢さを自覚していましたから、合格なんてのは夢のまた夢
。志望校に設定することすらも信じがたいのが現実でした。一度掘り返された自信が再び根を張るのは簡単なことではありません。しかし今思えば、このころの私は勉強からひたすら逃げるだけでなく、ある種のトラウマを感じていました。これまでで入塾当初ほどに自信を砕かれたことはありませんでしたから。手付かずの花畑が何ものかに踏み荒らされたような喪失感をどこかで感じていたのだと思います。

しかし、中学三年生の〈夏期講習会〉で大きな転機が訪れます。厳密に言えば、〈お盆特訓〉でのことでした。何とあろうことか、私が最上位クラスで授業を受けることとなったのです。このことは間違いなく大きな自信となりました。そして、
どこからともなく勉強へのやる気が湧いてきて、取り憑かれたように十時間以上勉強する日々が始まりました。勉強から逃げていたものの、勉強そのものを嫌っているわけではなかったため、ますます勉強にのめり込んでいきました。
「無駄」というものが嫌い(言葉自体も嫌い)な私が、移動中も勉強し始めたのもこのころだと記憶しています。読書の代わりに参考書を読み、絵を描く代わりに数式を書く。このようにして、私の生活はようやく受験生らしく変わっていきました。歩きながら英単語を復唱する様は、二宮金次郎のようで、現代人の目には奇怪に映ったでしょう。私も同感です。それに、歩きながらの勉強はかなり危険でしたので推奨しません。
中学三年生の夏まで勉強を放棄していた私がここまで夢中になれたのは、やはり勉強が楽しかったからだと思います。

もちろん、得意、不得意はありますが、新しいことを学ぶのは楽しいことです。実際は中学三年生の終盤は演習が主な学習なので、飽きてしまうこともありました。
そんなとき、少しだけ高校数学や英単語を覚えると、勉強のモチベーションが上がるのでおすすめです。そうすることで、本番までの集中力が保持されるのに加え、自信がつきます。自分は高校数学のこの範囲で、この英単語で戦えるのだという意識が、非常に役立ちました。

今でも、早くから受験勉強を始めておけばよかったと後悔することはあります。けれども、そうしていた場合、勉強を楽しくできていたかどうかと考えると、頭を悩ませます。だから楽しむことを第一にした選択は案外正しかったのかもしれません。そしてこれほど私に勉強の楽しさ、おもしろさを教えてくださった成基学園の先生方には感謝してもしきれません。

勉強は時間と質が大切だ、とよく言われますが、私はもう一つ提案したいものがあります。それは「本心」です。私も身をもって実感したことですが、勉強への好奇心がなかったころと、あるときの授業定着度は明確に違います。集中力も記憶力も格段に違います。私が受験本番に持っていった知識の九十九パーセントが中学三年生の〈夏期講習会〉以降に記憶したものだと言っても過言ではありません。そして、この「本心」についてなのですが、裏を返せば勉強をやりたくなければやらないほうがよい、ということにもなります。これも私の実体験なのですが、何となくテレビ見たいなとか思ったときは迷わずテレビを見ていました。勉強をしたくないなら、しなくてよいというわけではなくて、勉強以上にやりたいことがあれば、私はそちらを優先していた、ということです。これはあくまでも私のモットーのようなものなので、参考までにと軽く受け取っていただくと幸いです。

最後に、私をここまで導いてくださった全ての方々へ、ありがとうございました。そして、今読んでいる皆さんへ。
勉強は楽しいものだということ、「本心」を忘れないでください。
もちろん、辛いときもあるでしょうが、わかる喜びを胸にこれからもがんばってください。私もまだまだ未熟ですが、自分の心に決めたことには正直に、楽しく前へ進んでいこうと思います。ここまで支えてくださった方々、これからもお世話になる方々への感謝の気持ちを忘れず、高校入試で学んだことや身についたことを生かして、多くの人を支えてゆける存在になりたいと思います。