関西学院中学部

合格-2014年度

あきらめない

僕の将来の夢は、人の命を救えるような発明をする研究者です。

僕は生まれてすぐに、ひどいアレルギーに悩まされました。アトピーや、喘息や、鼻炎などいろいろと症状が出ましたが、 そのたびに、主治医の先生が薬剤師さんと相談し、さまざまな薬を使って治してくれました。今ではほとんど完治しており、不自由なく過ごせています。僕はそうした体験から、人の役に立つ仕事につけるようになりたいと考えて、受験をしようと思いました。

僕が成基学園に入塾したのは、四年生の春です。通っていた小学校の生徒は、ほぼ全員受験するという特殊な環境で、みんなどこかの塾に通っていました。僕は友人に誘われ、成基に入りました。入って驚いたのは宿題の量の多さでした。学校の試験と塾が重なる前日は地獄でした。受験勉強どころか、学校の成績まで落ちこみ、両立に悩んだこともありました。

五年生になり、一緒に入った友だちが次々に塾をやめて内部進学に切り替えていく中で、僕もやめようかどうか悩んでいました。しかし、内部進学でも受験はしなければならなかったので、「どうせ勉強するなら、ここでがんばろう。自分に負けたくない。」と思って、がんばり始めた頃、塾で聞いた先輩の話が僕に勇気をくれました。クラスで最下位を争っていた僕と同じぐらいの成績だった先輩が、偏差値を二十も上げて志望校に合格されたというのを聞いて、自分もできるのではないかと思えました。ちょうどその頃、母に関西学院中学部に祖父が通っていたことを聞いて、興味を持ち、調べてみると、学校の方針が自分にとても合っていると思い、この学校を受験しようと決めました。それから僕のそうした決意を父親に話して、もう一年、塾代を払ってくれるように頼みました。

六年生になり、担任のＭ先生に一年間の予定を組んでもらい、だいたいのイメージを思い描きました。今までの生活とは比べものにならない勉強時間の多い計画表でしたが、必死にこなしていくうちに、一日一日着実に進めることができました。テストの直しやテキストの復習から不得意分野を書き出し、徹底的にそれらを復習しました。四年生、五年生とサボっていた時期の穴埋めも大変でした。サボったことを悔やんだり、くじけそうにもなったりしましたが、そんな僕に気づかれていたのか、Ｍ先生が度々声をかけてくださいました。夏休みも冬休みも、朝から晩まで、塾で過ごしました。家にいると、つい気が散り集中できないからです。日曜日も、さまざまな講座がありました。その中で一番辛かったのは、〈日曜進学教室〉です。なぜ辛かったのかというと、自分の塾内での総合順位と偏差値がすぐに出てわかったからです。しかし、毎日顔を合わせる友だちを励みに、勉強を続けました。辛いのは僕だけじゃないと思えました。

九月になり、いよいよ過去の入試問題に取りかかりました。僕は算数が苦手だったので、算数のＫ先生に相談すると、二十年分の関西学院中の過去問をやるように言われて、手に入れると僕はすぐに取りかかりました。が、最初はまったく点数が取れず、とても落ちこみました。しかし、何本か解くうちに点数は上がり始めました。やれば結果はついてくると感じて、テストの結果が待ち遠しくなりました。また、問題が解けたときの楽しさも知りました。十一月になり、順調に上がっていた成績が上がらなくなってきてあせりましたが、先生も両親も笑顔で、「大丈夫、Ｓはまだいけるよ。」と言ってくれました。そう言われると、不思議に、まだがんばれました。まだ解いていない過去問や攻略できていない分野があると、寝ているときにうなされたこともありましたが、お正月もとにかく塾へ通い、試験の前日も先生や友だちの顔を見て安心しました。僕があたりまえに思っていた毎日の車での送迎、そして、僕が通っている小学校は給食がなくお弁当なので、学校と塾と一日に二つのお弁当を作ってくれていた母、それに父に感謝を伝えました。

試験当日は、「やるだけのことはやった。」と自分に言い聞かせたおかげで、リラックスして試験を受けることができました。合格発表の日、自分の番号が張り出されていたときは、思わずとびはねてしまいました。

一年前の自分からは想像できない第一志望校合格。やる気と勉強の楽しさを教えてくれた先生方、ほめていただいたときの嬉しさは忘れません。僕を認めてくれて、ありがとうございました。 お父さんお母さん、信じて応援してくれてありがとうございました。