滋賀県立
東大津高等学校（普通科）
合格-2014年度

夢を叶えるために

私の将来の夢は、多くの人に本の素晴らしさを伝えられるような、志の高い司書になることです。
私が司書という職業を知り、志すようになったのは中学二年生のときです。 その頃、私は一冊の本に出会いました。有川浩さんの『図書館戦争』です。この本は、法律により自由に本を読むことができなくなった日本を舞台に、それに対抗し、独自に図書を国民に提供する図書館が描かれています。
ＳＦ小説にも分類されますが、図書館に所属する主人公の本に対する情熱に、私は胸を打たれました。普段、何気なく利用している図書館にも、そこに働く人々がいて、そこにはさまざまな想いがあるのだと感じました。
図書館で働いている人々の志を、私が改めて実感する問題が、二〇一一年から二〇一四年に起こりました。中沢啓治さんの『はだしのゲン』閲覧制限問題です。この問題は、さまざまな物議を醸しました。
そんな中、私はニュース番組で図書館の関係者の方のインタビューを聞きました。その方が、こんなことを言っておられました。
「子どもをはじめとする国民から、図書館が知る権利を奪ってはならない。是非を判断するのは情報を手にした国民自身だ。」
この言葉から私は、図書館で働く人たちの志の高さを改めて実感しました。同時に、自分も志の高い司書になり、図書館で働いてみたいと思うようになりました。

しかし、司書になることは簡単ではないことも分かりました。司書になるための資格のこと、それを取得するための大学のこと、就職しようとしたときの求人のこと。高いハードルがそこにはありました。
そんなとき、成基学園で英語を担当してくださっていたＹ先生が、こんなことを言われました。
「Ｓくんって司書になりたいんや。なんか似合ってますね。」
私はその言葉に驚きましたが、少しだけ先生に自身の夢について話しました。そして、司書になるために高いハードルを越えなくてはいけないことも話しました。
すると、Ｙ先生は、
「でも、夢があるってすごいやん。やるだけやってみては？」
と言ってくださいました。
何気ない会話でしたが、私は先生に背中を押された気がしました。なれるか、なれないかではなく、なれるように努力しよう、そう思いました。
この夢は、高校受験でも私を支えてくれました。

受験勉強で私が最も大切にしたことは、あまり点数が良くなかったテスト、〈日曜特訓講座〉の問題の復習です。同じ問題が出ることはまずありませんが、その問題の解法を応用することで、他の問題を解くことができることがあります。
そのことを私に教えてくださったのは、数学のＴ先生でした。Ｔ先生は、数学の理解に苦しんでいた私に、
「視点を変えてみれば、数学もおもしろくなるよ。」
と、あの手この手で教えてくださいました。また、特色選抜試験の当日、会場の入口で私を見送ってくださったのもＴ先生でした。
私は正直、特色選抜試験で合格することはないだろう、と心のどこかで思っていました。一方で、小論文が得意なので、もしかしたら……と思う自分もいました。どちらにしても、結果を気にするのではなく、今できることを精一杯やろうと思いました。

特色選抜試験で合格し、合格通知をいただいたとき、このうえなく嬉しかったことを覚えています。同時に、結果にとらわれず無我夢中で自分が努力してきたことは正しかったんだ、と思うことができました。
Ｙ先生もＴ先生も一緒になって喜んでくださいました。特にＹ先生は、
「えぇっ！」
と大きな声を出されたのを覚えています。お二方を含む各講座、講習でお世話になった先生方には、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

無事、一つの関門を通過することはできましたが、これからいくつもの分厚く高い壁にぶつかると思います。そんな中でも、「できるか、できないか、じゃない。やるか、やらないか。」
という考えを忘れないようにしたいと思います。そして、一人でも多くの人に本を楽しんでほしい、そんな志の高い司書になるため、一歩一歩前進していきたいです。